写真について
どの子もみんな地域の宝
山形市立南山形小学校の日本語教室で子どもたちが学ぶ様子を撮影させて頂きました。

はじめに

 「山形県外国人児童生徒受け入れハンドブック」は、山形県内の小学校・中学校に入ってくる外国人児童生徒をどのように受け入れ支援していけばいいのかについて記したものです。

 山形県は、県の人口に占める外国人の割合が全国平均の3分の1と、外国人が少ない地域です。しかし、日本に帰化した人を含めると、外国出身者は県内の全市町村に住んでいます。つまり、山形県は外国出身者の散在地域という特徴を持っていることになります。

 この特徴は外国人児童生徒にも共通しています。外国人児童生徒が常に在籍する学校は非常にまれで、多くの小中学校では「いることもあるが一人か二人」であるため、外国人児童生徒をめぐる問題が表面化しにくい状況にあり、その状況は今後も続くものと予測されます。それぞれの現場では先生や支援者が奮闘しているにもかかわらず、外国人児童生徒に関わる先生や支援者の数も多くはないため、支援の経験の共有や蓄積がされにくいという課題があります。

 そこで、私たちは、「地域全体で子どもを支える」ことを理念とし、これまでの支援の蓄積を広くそして将来にわたって活かしていくことを目指して、ハンドブックの作成を決意しました。そしてハンドブック作成には、できる限り多くの方々に情報提供や原稿執筆の形でご協力をいただくことにしました。ハンドブック作成のプロセスにおいて、外国人児童生徒に関わる多くの大人(学校の先生、支援者、行政、研究者、支援を受けたかつての子ども)をつなげることを目指したのです。この人と人とのつながりは、現在の支援を充実させるだけでなく、ハンドブックを介して将来へもつながり広がっていくものと確信しています。ぜひとも、ハンドブックそのものの利用にとどまらず、外部機関や外部支援者に直接問い合わせをして、個別の支援の経験をも参考にしていただきたいと思います。

 最後になりますが、ハンドブックの作成には、本当に多くの方からご協力と励ましを頂戴しました。この場を借りてお礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。

2010年7月

このハンドブックは、2008年11月~2010年10月までトヨタ財団の研究助成を受けたプロジェクト「外国人散在地域における外国人児童生徒の教育・支援に関する研究-山形・岩手地域の教育・支援についての課題の整理・明確化および教育・支援にあたる人材育成を中心に」(代表者:土屋千尋(帝京大学文学部教授)助成番号:D08-R-0163)の一環として作成されました。また、作成にあたっては『日本語指導が必要な児童生徒を迎えるにあたって』(静岡市教育委員会・静岡大学)を参考にしました。

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